この通水復旧作業に続くのが敷地内への給水対策であり、目標を持った組合対策活動もこれに呼応してエンジン全開の動きとなった。復旧地区内の家庭修繕伝票が次々と組合本部に届けられてくる。しかし、一軒、一軒、本格修繕での給水確保とはいかない。通水復旧地域内の家庭通水作業はまずメーターを取外し、そこに給水栓一栓を仮設して、これを利用させる方法である。「仮栓一栓出し」が伝票の呼び名でもあった。訪問家庭でのこの仮設施工が終ると、学校や公民館まで出向き、タンク給水を待った苦労の解放から、本当に嬉しそうな市民の顔が見られる。
しかし、すかさず、入浴、トイレに思いが飛ぶのか、「本修繕は何日来てくれる」の質問も決り文句である。返事のマニュアルはこうだ。「この仮設工事は水道局の無料工事です。メーターを外したので、水道料金も減免があるでしょう。本格修繕は、全市の給水目途がついてからです。」
 
●地元組合員の活動
 通水復旧地区の「仮栓一栓出し」と併行するように、組合対策本部活動外での組合員個々の営業修繕活動も猛烈な忙しさとなってきた。得意先の督促、近所からのお願いだ。先の仮設一栓も有難い。しかし、水が目の前にあるのなら、一日も早く元通りに使いたい。この願いに、無理してでも答えなければ、名実共の通水復旧100%とはならない。
 この答えとして組合員個々が市民のために、それこそ激烈に動いてたことを示す記録がある。組合対策本部活動は水道局応援活動であり、先に二月末就労延人員1,089人と述べたが、三月は残務動員54人で済まし、三月末1143人が最終記録である。これに対し、組合員各自の営業活動による就労人員は一月3,010人だが、二月7469人と倍増し、三月も落ちることなく6,207人で延16,686人(施工27,578件)が記録である。これは、二月当初からも配水系統の復旧に間をおかず、敷地内の給水装置本格修繕に答えを出したもので、水道局と連係の組合対策活動は二月末で終了しても、組合員個々の活動は三月末まで息付く間もなく続けられたことの裏付けでもある。
 
●おわりに
 40組合員中、10組合員の被災がありながら、震災発生時から三月末までの74日間、対策本部活動、自主活動併せて17829人(施工32912件)の就労であり、これは地元業界の立場とはいえ、市内応急給水に全国から延べ3300団体・10344人、水道復旧工事に同じく延べ132団体・11824人という震災復旧応援の方々に対しても恥のかかない就労動員といえよう。
 以上のように、当市内業界だけでも大規模な震災復旧就労が必要であった。ライフラインの中でも人の生存に直結する水道業界に位置するものであれば、これは業界人として当然とも考えておくべきかもしれない。いや、考えるまでもなく使命でもある。

 今回は、当組合事業のみの活動を記したが、同業界仲間の活動の功績は、当然、西宮市の記録の中に残されているとおりである。この支援があってこそ、地元業界も勇気づけられ頑張れたことに改めて感謝の念を捧げるものである。